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For Consumers このページは一般消費者向けのものです
液体商品二酸化塩素水、二酸化塩素ガスの有害微生物に対する効果二酸化塩素ガス発生商品の分類効果(有効性)の限界は二酸化塩素ガス発生剤(放散剤、燻蒸剤など)の消臭効果 二酸化塩素ガスを利用する工業用途と市販品の違い 工業用利用と「空間除菌剤」の違い
二酸化塩素の雑貨 二酸化塩素の一般消費者向け商品
二酸化塩素は常温で気体、水に溶けやすい反応性が高い物質です。 濃度が低下し易いので保存性が悪く、ボトルに詰めて陳列販売することが困難です。 陳列販売されているものは、「純粋な」二酸化塩素ではなく、安定化二酸化塩素をベースに作られていて、長期間保管が可能で個人消費に向いています。 パスタライズ(株)が製造している「純粋二酸化塩素水」のような製品は一般には販売されていません(全くない訳ではありません)。 注意:本サイトでの用語解説 ・安定化二酸化塩素:一般に液体としての利用しか無いので安定化二酸化塩素「水」とはしない ・二酸化塩素水:二酸化塩素は気体と液体での利用があるので、区別するため二酸化塩素「水」とする ・純粋二酸化塩素水:安定化二酸化塩素や純度の低い二酸化塩素水と特に区別するための名称で「二酸化塩素水」とほぼ同義 商品の形態は、液体を利用するもの、ガスを放散させるものがあります。
■液体商品一般消費者向けに販売されている「二酸化塩素」の液体商品
二酸化塩素水と安定化二酸化塩素および次亜塩素酸塩溶液の違い(見分け方)
二酸化塩素は保存性が悪いので、二酸化塩素ガスをアルカリ性の水に吸収させた「安定化二酸化塩素」 (Stabilized Chroline Dioxide)として流通、保存させ、使用時に安全な酸(GRASの酸)を添加して二酸化塩素を発生させる方法が米国で普及しました。日本には「安定化二酸化塩素」として紹介されましたが、酸を添加して二酸化塩素を発生させる方法が何故か一般化されずに、そのまま使用することがほとんどです。 「二酸化塩素含有」あるいは「安定化二酸化塩素」と称した次亜塩素酸塩(タブレットや水溶液)が流通しており、酸を添加して黄色(二酸化塩素)にならなければ次亜塩素酸を発生する塩類(次亜塩素酸ナトリウム液、次亜塩素酸カルシウム、ジクロロイソシアヌル酸塩、トリクロロイソシアヌル酸塩)です。 全く表記と違う場合があります。
二酸化塩素水、二酸化塩素ガスの有害微生物に対する効果
商用のサイトではなく文献検索(Google Scholar,J-STAGE,CiNii など)サイトにて文献を探すことができます。商用サイトでは安定化二酸化塩素と二酸化塩素が混同されていたり、誤った理解を引き継いでいることが多いです。また、二酸化塩素・安定化二酸化塩素の上市されている商品に関して、一般消費者に対して法律上、固有の微生物名に対応した除菌効果を表示することはできません。また、感染、疾病を予防するかのような広告表現は違法です。
安定化二酸化塩素の有害微生物に対する効果
安定なままでは効果は小さいです。この作用の穏やかさと保存性の良さが、一般家庭では安全で使い勝手が良い点となります。安定化二酸化塩素にGRASの酸(安全な物質)を添加すると二酸化塩素と同様な大きい効果がありますが、容器の寿命が短くなったり、濃度が変動して不安定になり保存性の低下や危険性の増大などが生じます。 (注意)安定化二酸化塩素は使用方法・注意書きにしたがって保管、使用してください。化学的な知識のない方が酸を添加したり、酸性の洗剤と混合すると有毒なレベルで二酸化塩素ガスを生じて危険です。
安定化二酸化塩素の消臭効果
二酸化塩素のような塩素臭がほとんどないので、例えば汚物処理時の即効性はありませんが、繰返し使用や濃度を高めることにより効果があります。室内消臭としてミスト散布に効果があります。業務用では特殊清掃で消臭目的に使用されることがあります。あまり見かけませんがエアロゾル商品が幾つか上市されています。
二酸化塩素ガス発生商品の分類
二酸化塩素が発生しているかどうかは、タッパーなどの密閉小容器に数時間置いて、二酸化塩素の臭いがするかどうか確認することで分かります。
市販の二酸化塩素ガス発生剤の効果はどの程度あるのか
二酸化塩素ガスを高濃度で数時間接触させるとほとんど全ての微生物を不活化させることはよく研究されてきました。また、残留性がないので米国では農産物の除菌、保管に有効であることが報告されています。 その後国内において、ヒトが居る空間で低濃度の二酸化塩素ガスを放散させて空間と物質表面を除菌する使用方法が考案されました。 数社から「置き型」(「据え置き型等」*)と称して販売されています。 *:社団法人 日本二酸化塩素工業会.家庭用二酸化塩素製品の広告表示に関する自主基準(ガス製品)第四版
有効な状況
例えば、1時間に空間の空気の半分が入れ替わるように換気した場合(換気回数0.5回)、平衡濃度**に達するのに数時間必要です。 従って、換気の十分でない部屋で何らかの汚染があるような状態であれば、数時間後以降は空間内の微生物濃度をある程度低く保つ効果があると推測できます。 使用状況(換気回数、温湿度、放散速度その他)により平衡濃度は異なりますし、実使用下では家具の配置・光・ヒトの出入りなどがあります。 **:有効濃度は目的により異なる
33立米(8畳間相当)で換気回数0.5回(1時間に1/2の空気が入れ替わる換気状態)とした場合の放散速度*と室内ガス濃度を表現したグラフ。およそ5時間程度で濃度は平衡状態に達する。換気回数が大きくなると平衡に達する時間が延長される。換気回数ゼロ(密閉)では直線的に上昇し高濃度で平衡に達する。 *:1時間(h)あたりのガス放散量(mg)
効果(有効性)の限界は
有効濃度(ヒトがいる空間での有効濃度とは何ppmなのかは別の問題ですが)であっても新たに追加される微生物やウイルスを除去するには分単位の時間が必要です。 したがって、呼吸器を標的とするウイルス等を除去する前に吸入してしまい感染が成立することはあるとの報告があります。* また、空気の入れ替わりが大きい場所(共用大空間、廊下、吹き抜けの玄関、24時間換気扇の近く等)に置いた場合、濃度が有効濃度に達しないと効果は期待できません。(開放空間ではないので置く個数を多くすれば平衡濃度は上昇します) (空気清浄機でも同じことで、クリーンにするには所定の時間が必要となり、新たに空間内に進入する ウイルス等の除去には分単位の時間が必要です。) * : 西 村 秀 一 (2017). 低 濃 度 二 酸 化 塩 素 に よ る 空 中 浮 遊 イ ン フ ル エ ン ザ ウ イ ル ス の 制 御 環 境 感 染 誌 ,Vol.32,No.5,243-249. したがって、「実際に購入して部屋に置いた場合、効果があるのか・ないのか?」という質問には(使用状況により効果は異なるため、あるいは実使用での実験を網羅しているわけではないので)答えようがないのです。よく言われるように、半閉鎖空間での試験結果が全てです。ここでは「効果」とは微生物の除去(不活化)のことす。(感染防止の「効果」は医薬品ではないので触れることはできません) 効果を得るには、空間濃度、温湿度、時間を制御し条件を一定(効果が出る条件)にしないといけません。これを行っているのが工業的な利用例であり、確実に効果がある使用条件を定めて運用されています。また、効果が得られたかどうかは、バイオロジカルインジケーター(芽胞を付着させた試験片)で陰性になること等を確認します。 なお、密閉空間において0.01ppm以下で微生物がかなりの割合で不活化あるいは抑制されることは、報告されています。このデータの条件設定を考慮して実使用の場合、どのような状況下で使用すればよいか、ということです。 また、低濃度ガス発生商品を身体に装着(例えば「首下げ型・携帯型」)*した場合の呼吸器ウイルスに対する濃度低下(不活化)効果があるのかどうかは充分検証されていませんし、否定的な報告があります**。 なお、装着した近辺(近傍あるいは接触面)の微生物濃度は低下する可能性があります。 *:社団法人日本二酸化塩素工業会.家庭用二酸化塩素製品の広告表示に関する自主基準(ガス製品)第四版 **:西村秀一(2017).身体装着型の二酸化塩素放散製剤の検証環境感染誌,Vol.32,No.4、222-226.
二酸化塩素ガス発生剤(放散剤、燻蒸剤など)の消臭効果
二酸化塩素ガスは消臭効果があります。
φ14mmスティック状の検体を曲げて二酸化塩素を発生させ室温で24時間静置した。検体を臭い袋に入れヒートシールした後、空気9Lを封入し、設定したガス濃度となるように試験対象ガスを添加した。これを静置し、経過時間ごとに袋内のガス濃度をガス検知管を用いて測定した。2018/4/4 第 18027074001-0101 号 消臭機構は悪臭物質の酸化分解の為、すでに酸化された形態である酢酸(一般住宅での主要な悪臭物質の一つ)などに対しては特筆するほどの効果は期待できないのではないでしょうか(官能試験では効果は一定程度あるようですが)。 硫化水素に効果が高い上に示したグラフは二酸化塩素濃度が初発ゼロppmで時間とともに上昇する設計なので、なだらかに低下していますが、二酸化塩素が硫化水素を短時間に無臭化することはよく知られていて、分単位で急激に低下するグラフの形となります。 置き型のガス発生剤を一般住宅、自動車キャビン等に置いて消臭効果を実感したとする感想はよくいただきますが、データ化されておりません。
二酸化塩素ガスを利用する工業用途と市販品の違い
工業的利用と市販品の違いは 二酸化塩素ガスの工業的利用例 ・米国炭疽菌テロ・・・・一部の建屋内の炭疽菌芽胞の除染に対して、二酸化塩素ガスが利用されました。 物体表面を濡らさないこと、炭疽菌の芽胞(カビの胞子のように死滅しにくい形態の細胞)を不活化可能なことから、書類等に損害を与えないで処置を終えることができたと報告されています。 ・安全キャビネットの除染・・・・米国で導入され、遅れて国内でもJIS K3800:2021で規定されました。使用者が有害な薬剤に被爆せず、比較的短時間に除染を完了できます。安全キャビネットの除染では1000ppm※以上の二酸化塩素ガスを使用します。 ※:ppm・・・気体の濃度は容積の比率で表現します。溶液の場合ppm≒mg/Lですが、気体の場合全く数値が異なります。 工業的に利用する二酸化塩素ガスは密閉空間の物体表面の微生物濃度を非常に低くすることが可能です。 一方、市販の二酸化塩素製品:二酸化塩素ガス放散剤は、ヒトがいる状態でも健康に影響のない0.01(vol)ppm以下で使用するように、二酸化塩素工業会から指針が出ています。* *:日本二酸化塩素工業会:二酸化塩素の自主運営基準設定のための評価について-ガス製品-2014年3月 ↓ 業務利用と低濃度ガス放散剤(雑貨)ではガス濃度が10万倍も違います。